1、 毎日新聞 2012年4月7日朝刊
2、 原子力発電所の再稼働にあたっての安全性に関する判断基準(4大臣会合資料)
3、 東京電力・福井第一事故の技術的知見から得られる30の対策(原子力安全保安院)
4、 大飯原発を中心に福島原発事故による土壌汚染図との重ね合わせ(美浜の会)
1、
再稼働の判断は安全性に関する技術的判断が優先されなければならない。まだその判断はできない。
理由、 ① 福島の事故の検証が終わっていない
② 安全基準の見直しが始まったばかりである
③ 過酷事故の際の放射性物質放出の様態や影響緩和策についての効果 の評価がされていない。
①
に関して
いまだ炉心の状況は推測で事故の要因で地震の影響など特定できていない。国会事故調の調査は7月にも最終報告が予定されている。
4大臣会合の基準3「想定値を超えた地震・津波に襲われても燃料損傷にならない」根拠として
福島第一の津波の想定は5.5m 実際は15m その差9.5m。大飯原発は想定1.9mだからこれに9.5m足した11.4mの津波に耐えられる対策を講じているから、福島と同等の津波が襲っても大丈夫 ??? 地震に関しても同様の論理。
②
に関して
新たな安全基準を策定する原子力規制庁(規制委員会)は今国会で審議中。今回の安全基準(当初は暫定)も4大臣と言う政治判断で作られたもの。原子力安全保安院も原子力安全委員会も再稼働の是非について判断したわけではない。
なお、大飯原発ではフィルター付きベント設備や免震事務棟の設置など重要対策は数年先の設置となる。
③
に関して
ストレステストの2次評価は放射能被害予測やその影響緩和策の評価だが行われていない。原子力安全委員会の斑目委員長は、安全確認は1次評価だけでなく2次評価も必要と発言している。滋賀県のスピーディの情報の公開要求などにも何一つ答えていない。大飯原発の事故が起これば、30km圏に該当する琵琶湖は汚染され、近畿、当然尼崎の水も汚染を免れない。
2、
根本的な安全対策の見直しが求められている
日本の原子力安全維持体制の形がい化が、福島の事故以降あらわになりその象徴は「安全神話」と呼ばれている。(福島事故独立検証委員会等)「日本の技術は世界最高だから全体過酷事故は起こらない」「事故が起こらないのだから、より安全性を高める言葉も使ってはならぬ」こうした安全神話は実際の事故が起こったことで死語となったと思われた。しかし、野田首相は「再稼働ありきではない、あくまで安全ありきだ」という言葉も裏腹に「政府の安全判断の基準は暫定的」と認めつつ「夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」と恒常的な稼働に踏み込んでいる。まさしく何も変わっていない。「安全神話」が頭をもたげている。
3、
国民の多くが再稼働に反対している
政府や関西電力の「電力が足りない」という大宣伝にも関わらず多くの市民が再稼働に反対している。
6/11 読売新聞世論調査 再稼働に反対47% 賛成43%
5/21 朝日新聞 再稼働に反対54% 賛成29%
6/3 毎日新聞 再稼働に反対71% 賛成23%
6/11 産経新聞 再稼働に反対43.3%賛成49.2%
多くの市民あるいは企業も、この夏、安全を優先し、積極的に節電など電力不足に協力しようとしている。
4、
安全を優先し、尼崎市議会は政府関係機関へ大飯原発の再稼働に反対する意見書を提出してください
尼崎市民も当事者。福島の事故において政府は「最悪のシナリオ」を検討。(近藤駿介原子力委員長の証言 独立検証委員会)「2号機や4号機の状態次第によって住民避難区域は半径200kmにおよび、首都圏を含む3000万人の避難が必要になる可能性もあった。」
安全確認ができていない原発の再稼働に関しては、未来に禍根を残さないためにも、見なおさなければならない。
ドイツなどでは福島の事故を受けて「原子力災害の可能性、未来世代への負担、放射線による遺伝子損傷の可能性が、リスクを比較考量できないほど大きい」(安全なエネルギー供給に関する倫理委員会)と倫理的価値評価を行っている。技術的な評価とともに倫理的な評価も国民的な議論とする必要がある。